ダイハツ新型「軽ワゴン」どんなクルマ?
ダイハツは「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」にて、次世代の軽自動車を提案する「K-VISION」を出展しました。

ダイハツ新型「軽ワゴン」どんなクルマ?
そこでデザインにどのようなこだわりが盛り込まれているのか、CMF(カラーマテリアルフィニッシュ)デザイナーに話を聞きました。
ニュートラルでクリーンに
今回お話をうかがったのは、ダイハツくるま開発本部デザイン部プロダクトクリエイト室CMFグループの秦麻衣香さん。
【画像】超カッコイイ! これがダイハツ新型「軽ワゴン」です!(27枚)
これまでも、ショーカーなども含めて様々なモデルを手掛けてきた方です。
【Q】このK-VISIONのコンセプトはどういうものでしょうか。
【秦さん】コンセプトは「みんなの次世代軽自動車」です。そしてデザインのコンセプトは「ネクストベーシック」、次のベーシックな軽自動車の提案です。
【Q】それを踏まえ、どういうデザイン表現になっているのかを教えてください。
【秦さん】ネクストベーシックなので、なるべく多くの幅広い世代の人に心地よいと思ってもらいたいのです。
ですので、外装も内装もなるべくニュートラルで、クリーンなものをイメージしてコーディネートしています。
外観ですが、今回内装空間がかなり広く、さらに視界もなるべく広く見えるようにしています。
そこで外観をスクエアにすることで、アイコニックで可愛らしい印象にしながらも、そこに行き過ぎない印象にしています。
例えばフロントフェイスは可愛すぎず、格好良すぎず、本当にニュートラルなところを目指すことで、みんなに良いかもと思ってもらえるデザインを目指しました。
【Q】押し出し感もなく、人に優しい表情ですね。
【秦さん】ダイハツ車は、人に優しいところが一番のウリだと思いますので、“嫌いじゃない”と思ってもらうのがすごく大事なのです。
そこで内外装、カラーもニュートラルを一番のコンセプトにしています。
ちょっとだけアクセントを入れて
【Q】しかしニュートラルで表現するのはすごく難しいと感じますが、いかがですか。下手をすると商用車に見えてしまいますよね。
【秦さん】はい、難しかったです。毎日乗るクルマなのでニュートラルな中でも少し気分が上がるような仕掛けや要素がいるのですね。
そして商用車に見えてしまわないようにしたいのですが、室内の使い勝手(汚れなど)を考えたら色数は少ない方がいい。
ただ例えば真っ黒だと汚れは目立たないものの、実用一辺倒になってしまい面白くないし、心地良くないですよね。

心地よさを演出した内装
そこで、基本的にはグレートーンでまとめながらもトーンを微妙に変えたり、質感、シートの素材も若干変えたりして心地よさを演出しています。
いまお話をしたトーンを微妙に変えているというのは、室内をパッと見たときに広く見せたいというのと同時に、ウェルカム感が欲しいなと思ったからです。
上半分は明るい方が心地良いので、ルーフも含めてシートの上半分も少しトーンを上げています。
一方座る部分は汚れも発生するので、若干トーンを下げて質感もちょっと変えるというのが、今回ポイントになっています。
またこのクルマは初心者の人も運転するでしょう。その時の気持ちはどういうものかということを社内でずっと繰り返し検討してきました。
そこから見えてきたのは、この上下分割配色だと全体が整理されて見えるということです。そうすると視界に余計なノイズが入ってこないので慌てなくなるのですね。
同じく内装では、グレートーンの中にアクセント色を入れました。シートのタグやステッチをターコイズにすることでクリーンなイメージを表現しています。
本当にさりげなく入れるのが今回のポイントで、ニュートラルなのであまり運転の邪魔にはならないようにしながらも、乗り降りの時に目に入ったりするとちょっと嬉しいみたいな。そういうさりげないところに気をつけました。
ストライプもテーマのひとつ

次世代の軽自動車ダイハツ「K-VISION」
【Q】このシンプルな印象をエクステリアでも表現していくわけですが、そこはどうでしょう。
【秦さん】そうですね。なるべくピュアな形というのをヘッドランプやサイドのドア断面などで表現しています。
ただそのベーシックな中にもグラフィックは入っていて、例えばホイールキャップのところにグロスでストライプを入れることで実用一辺倒でないように見せています。
実はストライプがテーマのひとつで、内装にもさりげなく入れています。例えばドアトリムポケットにマットのテクスチャーで入れて、滑り止め的な役割も果たさせていますし、インパネ前のトレイ部分にも入れています。
【Q】ボディカラーも特徴的ですね。
【秦さん】このボディカラーはシルバーでそこに光輝材で黄色いものを入れました。そうすると陰影によってかなり柔らかいシルバーになるんです。
このクルマがみんなにとって心地良いものになってほしいという思いを込めました。陰影がきついシルバーだと金属の塊に見えてしまうので、色も形もなるべく軽く見せるようにしています。
それはエクステリアデザインも同様で、ヘッドライトからフェンダーにかけてと、リアフェンダーからリアコンビランプにかけて少しえぐったようなモチーフが入っていますが、それも軽く見せるためです。
※ ※ ※
このように、コンセプトと言うにはかなり現実感のある仕上がりといえるK-VISION。
特にインテリアの色使いやテクスチャーの入れ方などは、すぐに市販車に応用できるレベルです。
もしかしたら次世代軽自動車の“次世代”とは、もう間もなくなのではないかと感じさせてくれました。
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