国産中型アドベンチャーの現在地と3モデルの個性
国産の中型アドベンチャーは、ツーリングの快適性と日常域の扱いやすさを同時に満たすカテゴリーです。
高い防風性をもつカウルやアップライトなライディングポジション、舗装路を基本にしつつ、未舗装路にも対応できる足まわりが共通しています。
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今回は、スズキの「Vストローム」系と、従来「400X」から名称変更したホンダ「NX400」を取り上げ、外観デザインとエンジン特性、機能・電子制御を中心にまとめます。
●スズキ「Vストローム250」
Vストローム250は、V-Stromシリーズのエントリーモデルとして企画されたスポーツアドベンチャーツアラーです。

スズキ「Vストローム250」
同社の「DR-BIG」のDNAを受け継ぐ「くちばし」シェイプを採用。
くわえて、タフなアウトドアギアを想起させるヘッドライト意匠や、面発光LEDテールでシリーズ共通の世界観を表現しているといいます。
水冷2気筒248ccは低中速重視の味付けで、最高出力18kW(24ps)/8000rpm、最大トルク22Nm/6500rpmを発揮するようです。
さらに、アップハンドルと800mmのシート高で良好な足つきと取り回しを両立し、専用セッティングの前後サスペンションを備えます。
装備はフルデジタル多機能メーターにRPMインジケーターやギヤポジション、時計を搭載し、12Vソケット、ナックルカバー、コンパクトスクリーン、ABS付き前後ディスク、17Lタンクなど長距離を見据えた実用装備が充実。
なお、価格は66万8800円に設定されています。
●スズキ「Vストローム250SX」
Vストローム250SXは、「ライトウェイト・アドベンチャー」の色合いを強めた、Vストローム250の派生モデルです。

スズキ「Vストローム250SX」
デザインは、Vストローム共通のくちばしデザインに、八角形のLEDヘッドランプや19インチのフロントホイール、セミブロック調タイヤが組み合わせられています。
動力の油冷249cc単気筒SEPエンジンは、低速から粘り強く最高出力19kW(26ps)/9300rpm、最大トルク22Nm/7300rpmを発生。
さらに、SOCS(Suzuki Oil Cooling System)を採用し、軽量・小型の利点を運動性能にも反映させています。
USBソケットやスズキイージースタート、ナックルカバー、アルミ製リヤキャリアなど快適・実用装備も標準化されているのも特徴のようです。
なお、新車価格は59万1800円に設定されています。
最後は「400X」から名前を変えたホンダ「NX400」
●ホンダ「NX400」
NX400は、従来の「400X」から名称を改め、「Modern Street Adventure」を掲げて外観と装備を刷新したクロスオーバーモデルです。

ホンダ「NX400」
デザインはシンプルな面構成でタフさと軽快さを両立させ、スクリーンと一体感のあるカウリングで防風性を確保。
そして、装備面では5.0インチTFTフルカラー液晶メーターを新採用し、表示テーマや背景色の選択を可能としています。
くわえて、スマートフォン連携のHonda RoadSyncを標準装備し、ハンドルのセレクトスイッチや対応ヘッドセットで音声操作にも対応するといいます。
さらに、水冷DOHC直列2気筒399ccは、34kW(46ps)/9000rpm、38Nm/7500rpmを発揮し、低中速のトルクフルさと高回転の伸びを両立。アシスト&スリッパークラッチを採用し、シフトダウン時のショックを緩和します。
電子制御はHSTC(Honda セレクタブル トルク コントロール)を装備し、路面状況に応じて後輪の駆動力を制御。
さらに、足まわりはショーワ製SFF-BP倒立フォークと分離加圧式リヤを組み合わせ、フロントはダブルディスク、ABSも装備します。
NX400の価格は89万1000円に設定されています。
400Xの系譜を受け継ぎつつ、メーターやコネクテッド機能の強化により、日常からロングまでを幅広く支える方向性のモデルといえるでしょう。
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3モデルを通してみると、Vストローム250は伝統のスタイルと実用装備で長距離志向、250SXは軽さと19インチ前輪でフラットダートを意識、NX400はTFTメーターやHSTC、RoadSyncといった電子・情報系の充実が持ち味といえそうです。
外観の方向性、エンジンの味、電子装備の差を基準に、自分の走る道を具体的に思い浮かべると選択が定まります。