トラッカースタイルを象徴する3モデル
トラッカースタイルは、フラットトラックレースに端を発したデザインを日常に取り入れたジャンルであり、シンプルな単気筒エンジンや軽快な取り回し、ファッション性の高い外観が特徴です。

ホンダ「FTR223」
【画像】この“ラフさ”がカッコいい! 街乗りも週末も楽しめる「トラッカースタイル」バイク3台を写真で見る(16枚)
2000年代には街乗りを楽しむ若い世代を中心に支持が広がり、数多くのモデルがヒットしました。
特にホンダ「FTR223」、カワサキ「250TR」、ヤマハ「TW225」の3台は、当時のブームをけん引した代表的存在のモデルたちです。
いずれも生産を終えていますが、独自の個性を備えたモデルとして今なお記憶に残っています。
ホンダ「FTR223」
まず紹介するのはホンダ「FTR223」です。

ホンダ「FTR223」
軽二輪スポーツとして2000年に登場し、フラットトラッカースタイルを量産車に落とし込んだモデルでした。
全長やシート高はコンパクトに抑えられ、取り回しや足付きに優れた構成により20代のライダーから厚い支持を獲得しました。
エンジンは空冷4ストロークOHC単気筒223ccエンジンを搭載。
さらにエアインジェクションシステムも採用し、平成18年排出ガス規制に適合しました。
燃費は43km/L(60km/h定地走行テスト値)を記録し、扱いやすさと環境性能を兼備しています。
なお、販売は2007年で終了しており、新車の購入はできません。現在は中古市場でしか手に入りませんが、当時の若者文化を象徴するモデルといえます。
カワサキ「250TR」
次に取り上げるのはカワサキ「250TR」です。2002年にデビューしたこのモデルは、往年のトレール車を思わせるスリムな外観を特徴としていました。

カワサキ「250TR」
黒塗装の空冷4ストローク単気筒249ccエンジンを搭載し、アップハンドルや大径ホイールが組み合わされたデザインは、ストリートファッションに馴染む存在感を持っていました。
エンジンは中低速重視で、単気筒特有の鼓動感を味わうことができます。
さらに2007年の改良では、フューエルインジェクションとハニカム触媒を採用して排出ガス規制に対応。
冷間時の始動性も改善され、ビギナーにも適した扱いやすい特性となりました。加えてハンドル幅を30mm短縮することで、市街地での操作性も向上しました。
なお、現在では生産が終了しており、新車としての購入は不可となっています。
3台目は90年代後半から2000年代にかけて爆発的な人気を誇ったあのモデル
ヤマハ「TW225」
最後に紹介するのがヤマハ「TW225」です。

ヤマハ「TW225」
1987年登場のTWシリーズは、90年代後半から2000年代にかけて爆発的な人気を誇り、特に極太タイヤが印象的なモデルとして知られています。
1998年から2000年にかけては軽二輪登録台数で3年連続1位を記録し、若い世代の間で社会現象的なブームを巻き起こしました。
TW225は2002年に投入され、ボア・ストロークを拡大した223cc空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載。
最高出力は18ps/7500rpmを発揮し、低中速域での加速性能が強化されました。
キャブレターは排気量アップに合わせて最適化され、街乗りにおける発進性や実用域での扱いやすさを実現しています。
足まわりにはモノクロスサスペンションを採用し、前輪には220mmディスクブレーキを装備。
後輪には130mm径ドラムブレーキを組み合わせ、極太のタートルシェルパターンタイヤとあわせて快適なハンドリングを実現しました。
丸型メーターや小型タンクキャップ、スリムなリアカウルなど、外観面でもストリート感を強調しています。
新車販売はすでに終了していますが、カスタムベースとして今なお根強い人気を持ち続けています。
※ ※ ※
ホンダ「FTR223」、カワサキ「250TR」、ヤマハ「TW225」はいずれも2000年代を彩ったトラッカースタイルの代表格でした。
いずれも生産は終了しましたが、コンパクトで扱いやすく、個性を前面に出せる設計は若者文化と密接に結びついていました。
街乗りを意識した足付きの良さやシンプルな単気筒エンジンの味わいは、今見ても魅力的に映ります。
当時のトレンドを牽引したこれらのモデルは、中古市場やカスタム文化の中で今も語り継がれています。